toggle
東大合格請負人時田啓光による、志望校に合格するための勉強法
2020-01-26

2020東北医科薬科大医学部 数学解説大問2

こんにちは、東大合格請負人の時田啓光です。

本日は、2020年の東北医科薬科大の数学 大問2を解説します。

医学部受験生は、参考にして下さい。

受験生にとって、できるだけ無理がなく

試験会場で思いつける解法を目指しています。

よりエレガントで、効率的な解き方も考えてみてくださいね。

 

[2] I=∫1▒〖xe^(-x)  sin⁡x 〗 dxを考える。このとき、次の問に答えよ。

(1) 関数f(x)=x^2 e^(-x)のx≧0における最大値を求めよ。

さらに、  lim┬(n→∞)⁡〖xe^(-x) 〗 を求めよ。

(2)  I=オカ/キ xe^(-x)  cos⁡x-ク/ケ xe^(-x)  sin⁡x-コ/サ e^(-x)  cos⁡x+C (Cは積分定数)である。

(3)   I_n=∫_2(n-1)π^(2n-1)π▒〖xe^(-x)  sin⁡x dx〗 とおくとき、∑_(n=1)^∞▒I_n  を求めよ。

(2020東北医科薬科大)

解答に至るまでの考え方

(1)  最大値を求めるには、グラフの概形で考えることが定番。

極大値や、単調減少(or単調増加)となる部分、漸近線などに

注意しておきましょう。

f(x)=x^2 e^(-x)    (x≧0) であるので、早速微分して、極値を求めよう。

f^′ (x)=2xe^(-x)+x^2 (-e^(-x) )

=xe^(-x) (2-x)

ここで、 f^′ (x)=0となるのはx=2のみで、 x≧0よりe^(-x)≧0なので

f^′ (x)の符号を変化させるのは、 (2-x)の部分だけ。これにより、

y=f(x)のグラフは0≦x<2で単調増加、 x≧2で単調減少とわかる。

さらに、f(2)=4e^(-2) である。以上より、次のような増減表がかける。

 

よって、x=2のとき最大値f(2)=4e^(-2)となる。…(答)

〖次に、 lim┬(n→∞)〗⁡〖xe^(-x) 〗 の値を調べる。

一般的に(感覚的に)、指数関数y=e^xとn次関数y=x^n を比べると

x→∞ のとき圧倒的に指数関数の方が大きくなることは知っておこう。

また、答を出すだけなら次に紹介するロピタルの定理を用いても良い。

(ロピタルの定理(記述では使わないでください))

lim┬(x→a)  f(x)/g(x)  が 0/0 or ∞/∞ の不定形になれば、

lim┬(x→a)  f(x)/g(x) =lim┬(x→a)  f′(x)/g′(x)   が成り立つ。

この定理から、

lim┬(x→a) 〖xe〗^(-x)=lim┬(x→a)  x/e^x =lim┬(x→a)  1/e^x =0となる。

 

これを用いずに、問題文を下に厳密に計算する場合は、

次の「はさみうちの原理」から解いていきます。

最大値を求めた結果から、 x>0に対して

0<x^2 e^(-x)≦4e^2 が成り立つ。

   辺々x(>0)で割っても大小関係は変わらないので、

0<xe^(-x)≦(4e^2)/x が成り立つ。

ここで、

lim┬(n→∞)⁡〖(4e^2)/x=0となるので、             〗

はさみうちの原理より、lim┬(n→∞)⁡〖xe^(-x) 〗=0 が成り立つ。…(答)

(2)

x, e^(-x),sin⁡xの3つの関数の積の積分です。2つの関数の積の積分であれば、

(部分積分)

∫1▒f′(x)g(x)  dx=f(x)g(x)-∫1▒f(x)g′(x)  dx

を用いれば良いですね。今回のような3つの関数の積の場合は、

f(x)=e^(-x),  g(x)=x sin⁡xという風に置いて計算していきます。

なぜ、 e^(-x)とx sin⁡xに分けたかというと、 e^(-x)  sin⁡x とxだと

e^(-x)  sin⁡xの部分が複雑すぎるので、 e^(-x) と sin⁡x は分けておきたい。

また、e^(-x) の積分はすぐ求まりそうだと判断したい。

I=∫1▒〖e^(-x)  〖(xsin〗⁡〖x)〗 〗 dx

=-e^(-x) (x sin⁡x )+∫1▒〖e^(-x)  〖(sin〗⁡〖x+x cos⁡x)〗 〗 dx

=-e^(-x) (x sin⁡x )+∫1▒〖e^(-x)  sin⁡x 〗 dx+∫1▒〖e^(-x) (x cos⁡x ) 〗 dx

=-e^(-x) (x sin⁡x )+∫1▒〖e^(-x)  sin⁡x 〗 dx+(〖-e〗^(-x) x cos⁡x+∫1▒〖e^(-x) (cos⁡x-x sin⁡x ) 〗 dx)

=-e^(-x) x(sin⁡〖x+cos⁡x 〗 )+∫1▒〖e^(-x)  〖(sin〗⁡x+cos⁡x)〗 dx-I

∴  2I=-e^(-x) x(sin⁡〖x+cos⁡x 〗 )-∫1▒〖〖(-e〗^(-x)  〖(cos⁡x〗⁡〖)′〗+〖〖(-e〗^(-x))cos〗⁡x)〗 dx

∴  I=1/2 {-e^(-x) x(sin⁡〖x+cos⁡x 〗 )-e^(-x)  cos⁡x }+C

=-1/2 xe^(-x)  cos⁡x-1/2 xe^(-x)  sin⁡x-1/2 e^(-x)  cos⁡x+C  (Cは積分定数)

(3) (2)を用いて計算する。なかなか根気の必要な計算です。

I_n=∫_2(n-1)π^(2n-1)π▒〖xe^(-x)  sin⁡x dx〗

=[-1/2 xe^(-x)  cos⁡x-1/2 xe^(-x)  sin⁡x-1/2 e^(-x)  cos⁡x ]_(2(n-1)π)^((2n-1)π)

代入してみると、sin⁡xの部分は全て0になり、

cos⁡xの部分は(奇数)× πのときは-1,(偶数)×πのときは1である。

これを意識すると少しだけ書く量が減ります。では続きを計算します。

I_n=1/2 ((2n-1)πe^(-(2n-1)π)+e^(-(2n-1)π)+2(n-1) 〖πe〗^(-2(n-1)π)+e^(-2(n-1)π) )

=1/2 (π(2(n-1) e^(-2(n-1)π)+(2n-1) e^(-(2n-1)π) )+(e^(-2(n-1)π)+e^(-(2n-1)π) ))

ここで、★と☆にわけて、以下考える。まずは★

∑_(k=1)^n▒(2(k-1) e^(-2(k-1)π)+(2k-1) e^(-(2k-1)π) )

=1∙e^(-π)+2∙e^(-2π)+3∙e^(-3π)+…+2(n-1) e^(-2(n-1)π)+(2n-1) e^(-(2n-1)π)

これをSとおく。

S=e^(-π)+2e^(-2π)+3e^(-3π)+…+(2n-2) e^(-2(n-1)π)+(2n-1) e^(-(2n-1)π)

e^(-π) S=           e^(-2π)+2e^(-3π)+…+(2n-3) e^(-2(n-1)π)+(2n-2)e^(-(2n-1)π)+(2n-1) e^(-2nπ)

(1-e^(-π) )S=e^(-π)+e^(-2π)+e^(-3π)+…+e^(-2(n-1)π)+e^(-(2n-1)π)-(2n-1) e^(-2nπ)

=e^(-π)∙〖1-e〗^(-(2n-1)π)/(1-e^(-π) )-(2n-1) e^(-2nπ)

∴ S=e^(-π)∙〖1-e〗^(-(2n-1)π)/(1-e^(-π) )^2 -((2n-1) e^(-2nπ))/(1-e^(-π) )

次に、☆を考える

∑_(k=1)^n▒(e^(-2(k-1)π)+e^(-(2k-1)π) ) =1∙(1-e^(-2nπ))/(1-e^(-π) )

となるので、

∑_(k=1)^n▒I_k =1/2 (π(e^(-π)∙〖1-e〗^(-(2n-1)π)/(1-e^(-π) )^2 -((2n-1) e^(-2nπ))/(1-e^(-π) ))+(1-e^(-2nπ))/(1-e^(-π) ))

ここで、(1)よりlim┬(n→∞)⁡〖xe^(-x) 〗=0なので、lim┬(n→∞)⁡〖(2n-1) e^(-2nπ) 〗=0であり、

lim┬(n→∞)⁡〖e^(-(2n-1)π) 〗=lim┬(n→∞)⁡〖e^(-2nπ)=0〗なので、

∑_(n=1)^∞▒I_n =1/2 (πe^(-π)∙1/(1-e^(-π) )^2 +1/(1-e^(-π) ))

=(1+(-1+π) e^(-π))/(2(1-e^(-π) )^2 )      …(答)

 

 

関連記事