2020年川崎医大 数学解説 大問2 (私大医学部受験生 東大合格請負人 時田啓光 合格舎)
こんにちは、東大合格請負人の時田啓光です。
今回は、2020年川崎医科大学の数学解説です。
大問2です。数列の漸化式です。絶対値の部分に注意が必要で、
絶対値が苦手な受験生は、ぜひ取り組んで欲しいです。
問題自体では触れられてはいませんが、解説に至る考え方を読んで
学びを深めてください。
例によって、試験会場で思いつける現実的な解法を
心がけています。医学部受験生に限らず難関受験生はチャレンジして下さい。
[2] 2つの数列{a_n }と{b_n }がある。数列{a_n }は
a_1=-6, a_(n+1)=2a_n+|a_n |+1 (n=1, 2, 3, …)
を満たす。また、数列{b_n }の初項から第n項までの和S_nは
S_n=4-(n+4)/(n+2) b_n (n=1, 2, 3, …)
を満たす。
(1) a_2, a_7の値を求めよ。
(2) n≧7のとき、次をnを用いて表せ。
a_n , ∑_(k=1)^n▒a_k
(3) b_1の値を求め、n≧2のとき、
b_n/(n+ス)=セ/ソ∙b_(n-1)/(n+タ)
であるから、n≧1のとき、
b_n=(n+チ) (ツ/テ)^n である。
(4) ∑_(n=1)^∞▒〖1/(2^2n b_n b_(n+1) ) の値を求めよ。 〗
(5) lim┬(n→∞)〖(n+2)/((2a_n+1) b_n )〗 , ∑_(n=7)^∞▒(n+2)/((2a_n+1) b_n ) の値を求めよ。
(2020 川崎医大)
解答に至るまでの考え方
{█(a_1=-6 …① @a_(n+1)=2a_n+|a_n |+1 (n=1, 2, 3, …)…☆@S_n=4-(n+4)/(n+2) b_n (n=1, 2, 3, …)…★ ) ┤
(1) a_2, a_7という項の値を求めたい。☆を見ると項の前後の関係が分かるので、
☆を用いて以下求めていこう。
a_2=2a_1+|a_1 |+1
=2∙(-6)+|-6|+1 (∵①より)
=-5
同様に進めると、
a_3=-4, 〖 a〗_4=-3, 〖 a〗_5=-2, a_6=-1, a_7=0
と分かる。 〖(a〗_2, a_7)=(-5, 0)…(答)
(2) (1)でa_2, …,a_7の結果を踏まえて☆を見ると、n≧7 の範囲では
すべてa_n≧0 だと分かる。この結果をイメージ出来なければ、
n=10くらいまで実験してみよう。
これより、☆の絶対値の部分が〖|a〗_n |=a_nとなるので、☆は
a_(n+1)=2a_n+a_n+1=3a_n+1 (n=1, 2, 3,…) …☆′
この式を見ると、漸化式なので、以下の考え方で解いていこう。
[漸化式の1つの解き方]
a_(n+1)=pa_n+q に対して、
α=pα+qを引き算すると
a_(n+1)-α=p(a_n-α)が成り立つ。
これは、数列 {a_n-α}は初項a_1-αで、公比pの等比数列である。
さて、本問に戻りましょう。 ☆′から、α=3α+1をついて考える。
これを解くと、 α=-1/2 となるので、☆’を変形すると
a_(n+1)+1/2=3(a_n+1/2) が成り立つ。
よって、数列{a_n+1/2}は、初項a_7+1/2=0+1/2=1/2 (∵①より)であり、
公比3の等比数列である。
※注意したいのは、この漸化式は、 n≧7の範囲なので、
総項数は、7番目からn番目までの(n-6)コある。
つまり、 n項目=初項×(公比)^((n-6)-1)=”初項×” (公比)^(n-7)
なので、
a_n+1/2=1/2∙3^(n-7) が成り立つ。
∴ a_n=1/2 (3^(n-7)-1) (n≧7) ・・・※
続いて、
∑_(k=1)^n▒a_k を求めていきますが、a_n は1≦n≦6の場合とn≧7の場合で
定義が異なるので、この部分を分けて計算することがポイントです。
∑_(k=1)^n▒a_k =∑_(k=1)^6▒a_k +∑_(k=7)^n▒a_k
=(-6-5-4-3-2-1)+1/2 {1∙(3^(n-6)-1)/(3-1)-(n-6)}
=1/4 (3^(n-6)-2n-73)
{█(a_n=1/2 (3^(n-7)-1) ” ” @∑_(k=1)^n▒a_k =1/4 (3^(n-6)-2n-73) )(n≧7)┤…(答)
(3) b_1に関係するのは★の式だけなので、これを用いる。
ここで、総和について重要な性質を学びましょう。
[b_nの総和S_nについて]
S_n=b_1+b_2+…+b_(n-1)+b_n
S_1=b_1
S_n-S_(n-1)=b_n (n≧2)
さて、本問に戻りましょう。
b_1=S_1=4-5/3 b_1 (∵★より)
∴ b_1=3/2 ・・・②
続いて、 b_nとb_(n-1)の関係を求めたい。 n≧2 に対して
S_n-S_(n-1)=(n+4)/(n+2) b_n-(n+3)/(n+1) b_(n-1) (∵★より)
∴ b_n=(n+4)/(n+2) b_n-(n+3)/(n+1) b_(n-1)
∴((n+4)-(n+2))/(n+2) b_n=(n+3)/(n+1) b_(n-1)
∴b_n/(n+2)=1/2∙b_(n-1)/(n+1)
ここで、数列{b_n/(n+2)}は、初項 b_1/3=1/3∙3/2=1/2 (∵②より)で、公比 1/2 の等比数列
なので、
b_n/(n+2)=1/2∙(1/2)^(n-1) が成り立つ。
∴ b_n=(n+2) (1/2)^n
これは、 b_1=2/3 となるので、 n≧1に対して成り立つ。
{█(b_n/(n+2)=1/2∙b_(n-1)/(n+1)@b_n=(n+2) (1/2)^n )┤
(4) まず、分母の式を整理しよう。
〖2^2n b〗_n b_(n+1)=2^2n (n+2) (1/2)^n (n+3) (1/2)^(n+1) (∵(3)より)
=(n+2)(n+3)/2
よって、
∑_(k=1)^n▒〖1/(2^2k b_k b_(k+1) )=∑_(k=1)^n▒〖2/(k+2)(k+3) 〗 〗
=2∑_(k=1)^n▒〖(1/(k+2)-1/(k+3)) 〗
=2{(1/3-1/4)+(1/4-1/5)+…(1/(n+2)-1/(n+3))}
=2(1/3-1/(n+3))
→┬(n→∞) 2/3
∑_(n=1)^∞▒〖1/(2^2n b_n b_(n+1) )=2/3 …(答) 〗
(5) 最後に、 (n+2)/((2a_n+1) b_n ) について考える。
a_nは、 1≦n≦6の場合とn≧7 の場合とで式変形する必要あるが、
n→∞ で考えているので、a_n=1/2 (3^(n-7)-1) (n≧7) としてよい。
よって、
(n+2)/((2a_n+1) b_n )=(n+2)/((2∙1/2 (3^(n-7)-1)+1)(n+2) (1/2)^n )
=2^n/3^(n-7)
=2^7 (2/3)^(n-7)
∴ lim┬(n→∞)〖(n+2)/((2a_n+1) b_n )=0 〗
∴∑_(k=7)^n▒(k+2)/((2a_k+1) b_k )=∑_(k=7)^n▒〖2^7 (2/3)^(k-7) 〗
=128∙(1-(2/3)^(n-7))/(1-2/3)
→┬(n→∞) 384
{█(█(lim┬(n→∞)〖(n+2)/((2a_n+1) b_n )=0 〗 ” ” @ )@∑_(n=7)^∞▒(n+2)/((2a_n+1) b_n )=384)┤…(答)