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東大合格請負人時田啓光による、志望校に合格するための勉強法
2020-01-29

2020年川崎医大 数学解説 大問2 (私大医学部受験生 東大合格請負人 時田啓光 合格舎)

こんにちは、東大合格請負人の時田啓光です。

今回は、2020年川崎医科大学の数学解説です。

大問2です。数列の漸化式です。絶対値の部分に注意が必要で、

絶対値が苦手な受験生は、ぜひ取り組んで欲しいです。

問題自体では触れられてはいませんが、解説に至る考え方を読んで

学びを深めてください。

 

例によって、試験会場で思いつける現実的な解法を

心がけています。医学部受験生に限らず難関受験生はチャレンジして下さい。

 

[2]  2つの数列{a_n }と{b_n }がある。数列{a_n }は

a_1=-6,  a_(n+1)=2a_n+|a_n |+1     (n=1, 2, 3, …)

を満たす。また、数列{b_n }の初項から第n項までの和S_nは

S_n=4-(n+4)/(n+2) b_n    (n=1, 2, 3, …)

を満たす。

(1) a_2,  a_7の値を求めよ。

(2) n≧7のとき、次をnを用いて表せ。

a_n   ,  ∑_(k=1)^n▒a_k

(3) b_1の値を求め、n≧2のとき、

b_n/(n+ス)=セ/ソ∙b_(n-1)/(n+タ)

であるから、n≧1のとき、

b_n=(n+チ) (ツ/テ)^n   である。

(4) ∑_(n=1)^∞▒〖1/(2^2n b_n b_(n+1) )  の値を求めよ。                        〗

(5) lim┬(n→∞)⁡〖(n+2)/((2a_n+1) b_n )〗  , ∑_(n=7)^∞▒(n+2)/((2a_n+1) b_n ) の値を求めよ。

(2020 川崎医大)

解答に至るまでの考え方

{█(a_1=-6    …①          @a_(n+1)=2a_n+|a_n |+1     (n=1, 2, 3, …)…☆@S_n=4-(n+4)/(n+2) b_n    (n=1, 2, 3, …)…★  )               ┤

(1)  a_2, a_7という項の値を求めたい。☆を見ると項の前後の関係が分かるので、

☆を用いて以下求めていこう。

a_2=2a_1+|a_1 |+1

=2∙(-6)+|-6|+1  (∵①より)

=-5

同様に進めると、

a_3=-4, 〖  a〗_4=-3, 〖  a〗_5=-2,    a_6=-1,  a_7=0

と分かる。                   〖(a〗_2, a_7)=(-5, 0)…(答)

(2) (1)でa_2, …,a_7の結果を踏まえて☆を見ると、n≧7 の範囲では

すべてa_n≧0 だと分かる。この結果をイメージ出来なければ、

n=10くらいまで実験してみよう。

これより、☆の絶対値の部分が〖|a〗_n |=a_nとなるので、☆は

a_(n+1)=2a_n+a_n+1=3a_n+1  (n=1, 2, 3,…)     …☆′

この式を見ると、漸化式なので、以下の考え方で解いていこう。

[漸化式の1つの解き方]

a_(n+1)=pa_n+q に対して、

α=pα+qを引き算すると

a_(n+1)-α=p(a_n-α)が成り立つ。

これは、数列 {a_n-α}は初項a_1-αで、公比pの等比数列である。

 

さて、本問に戻りましょう。 ☆′から、α=3α+1をついて考える。

これを解くと、 α=-1/2 となるので、☆’を変形すると

a_(n+1)+1/2=3(a_n+1/2)  が成り立つ。

よって、数列{a_n+1/2}は、初項a_7+1/2=0+1/2=1/2   (∵①より)であり、

公比3の等比数列である。

※注意したいのは、この漸化式は、 n≧7の範囲なので、

総項数は、7番目からn番目までの(n-6)コある。

つまり、 n項目=初項×(公比)^((n-6)-1)=”初項×” (公比)^(n-7)

なので、

a_n+1/2=1/2∙3^(n-7)  が成り立つ。

∴ a_n=1/2 (3^(n-7)-1)   (n≧7) ・・・※

 

続いて、

∑_(k=1)^n▒a_k  を求めていきますが、a_n は1≦n≦6の場合とn≧7の場合で

定義が異なるので、この部分を分けて計算することがポイントです。

∑_(k=1)^n▒a_k =∑_(k=1)^6▒a_k +∑_(k=7)^n▒a_k

=(-6-5-4-3-2-1)+1/2 {1∙(3^(n-6)-1)/(3-1)-(n-6)}

=1/4 (3^(n-6)-2n-73)

{█(a_n=1/2 (3^(n-7)-1)  ” ”     @∑_(k=1)^n▒a_k =1/4 (3^(n-6)-2n-73)     )(n≧7)┤…(答)

(3)  b_1に関係するのは★の式だけなので、これを用いる。

ここで、総和について重要な性質を学びましょう。

[b_nの総和S_nについて]

S_n=b_1+b_2+…+b_(n-1)+b_n

S_1=b_1

S_n-S_(n-1)=b_n   (n≧2)

さて、本問に戻りましょう。

b_1=S_1=4-5/3 b_1   (∵★より)

∴ b_1=3/2  ・・・②

続いて、 b_nとb_(n-1)の関係を求めたい。 n≧2 に対して

S_n-S_(n-1)=(n+4)/(n+2) b_n-(n+3)/(n+1) b_(n-1)  (∵★より)

∴ b_n=(n+4)/(n+2) b_n-(n+3)/(n+1) b_(n-1)

∴((n+4)-(n+2))/(n+2) b_n=(n+3)/(n+1) b_(n-1)

∴b_n/(n+2)=1/2∙b_(n-1)/(n+1)

ここで、数列{b_n/(n+2)}は、初項  b_1/3=1/3∙3/2=1/2  (∵②より)で、公比 1/2 の等比数列

なので、

b_n/(n+2)=1/2∙(1/2)^(n-1) が成り立つ。

∴  b_n=(n+2) (1/2)^n

これは、 b_1=2/3 となるので、 n≧1に対して成り立つ。

{█(b_n/(n+2)=1/2∙b_(n-1)/(n+1)@b_n=(n+2) (1/2)^n )┤

(4) まず、分母の式を整理しよう。

〖2^2n b〗_n b_(n+1)=2^2n (n+2) (1/2)^n (n+3) (1/2)^(n+1)  (∵(3)より)

=(n+2)(n+3)/2

よって、

∑_(k=1)^n▒〖1/(2^2k b_k b_(k+1) )=∑_(k=1)^n▒〖2/(k+2)(k+3)                 〗        〗

=2∑_(k=1)^n▒〖(1/(k+2)-1/(k+3))               〗

=2{(1/3-1/4)+(1/4-1/5)+…(1/(n+2)-1/(n+3))}

=2(1/3-1/(n+3))

→┬(n→∞)   2/3

∑_(n=1)^∞▒〖1/(2^2n b_n b_(n+1) )=2/3  …(答)                  〗

(5) 最後に、 (n+2)/((2a_n+1) b_n )  について考える。

a_nは、 1≦n≦6の場合とn≧7 の場合とで式変形する必要あるが、

n→∞ で考えているので、a_n=1/2 (3^(n-7)-1)   (n≧7) としてよい。

よって、

(n+2)/((2a_n+1) b_n )=(n+2)/((2∙1/2 (3^(n-7)-1)+1)(n+2) (1/2)^n )

=2^n/3^(n-7)

=2^7 (2/3)^(n-7)

∴   lim┬(n→∞)⁡〖(n+2)/((2a_n+1) b_n )=0               〗

∴∑_(k=7)^n▒(k+2)/((2a_k+1) b_k )=∑_(k=7)^n▒〖2^7 (2/3)^(k-7) 〗

=128∙(1-(2/3)^(n-7))/(1-2/3)

→┬(n→∞)  384

{█(█(lim┬(n→∞)⁡〖(n+2)/((2a_n+1) b_n )=0 〗 ” ”   @ )@∑_(n=7)^∞▒(n+2)/((2a_n+1) b_n )=384)┤…(答)

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