2020東北医科薬科大医学部 数学解説大問2
こんにちは、東大合格請負人の時田啓光です。
本日は、2020年の東北医科薬科大の数学 大問2を解説します。
医学部受験生は、参考にして下さい。
受験生にとって、できるだけ無理がなく
試験会場で思いつける解法を目指しています。
よりエレガントで、効率的な解き方も考えてみてくださいね。
[2] I=∫1▒〖xe^(-x) sinx 〗 dxを考える。このとき、次の問に答えよ。
(1) 関数f(x)=x^2 e^(-x)のx≧0における最大値を求めよ。
さらに、 lim┬(n→∞)〖xe^(-x) 〗 を求めよ。
(2) I=オカ/キ xe^(-x) cosx-ク/ケ xe^(-x) sinx-コ/サ e^(-x) cosx+C (Cは積分定数)である。
(3) I_n=∫_2(n-1)π^(2n-1)π▒〖xe^(-x) sinx dx〗 とおくとき、∑_(n=1)^∞▒I_n を求めよ。
(2020東北医科薬科大)
解答に至るまでの考え方
(1) 最大値を求めるには、グラフの概形で考えることが定番。
極大値や、単調減少(or単調増加)となる部分、漸近線などに
注意しておきましょう。
f(x)=x^2 e^(-x) (x≧0) であるので、早速微分して、極値を求めよう。
f^′ (x)=2xe^(-x)+x^2 (-e^(-x) )
=xe^(-x) (2-x)
ここで、 f^′ (x)=0となるのはx=2のみで、 x≧0よりe^(-x)≧0なので
f^′ (x)の符号を変化させるのは、 (2-x)の部分だけ。これにより、
y=f(x)のグラフは0≦x<2で単調増加、 x≧2で単調減少とわかる。
さらに、f(2)=4e^(-2) である。以上より、次のような増減表がかける。
よって、x=2のとき最大値f(2)=4e^(-2)となる。…(答)
〖次に、 lim┬(n→∞)〗〖xe^(-x) 〗 の値を調べる。
一般的に(感覚的に)、指数関数y=e^xとn次関数y=x^n を比べると
x→∞ のとき圧倒的に指数関数の方が大きくなることは知っておこう。
また、答を出すだけなら次に紹介するロピタルの定理を用いても良い。
(ロピタルの定理(記述では使わないでください))
lim┬(x→a) f(x)/g(x) が 0/0 or ∞/∞ の不定形になれば、
lim┬(x→a) f(x)/g(x) =lim┬(x→a) f′(x)/g′(x) が成り立つ。
この定理から、
lim┬(x→a) 〖xe〗^(-x)=lim┬(x→a) x/e^x =lim┬(x→a) 1/e^x =0となる。
これを用いずに、問題文を下に厳密に計算する場合は、
次の「はさみうちの原理」から解いていきます。
最大値を求めた結果から、 x>0に対して
0<x^2 e^(-x)≦4e^2 が成り立つ。
辺々x(>0)で割っても大小関係は変わらないので、
0<xe^(-x)≦(4e^2)/x が成り立つ。
ここで、
lim┬(n→∞)〖(4e^2)/x=0となるので、 〗
はさみうちの原理より、lim┬(n→∞)〖xe^(-x) 〗=0 が成り立つ。…(答)
(2)
x, e^(-x),sinxの3つの関数の積の積分です。2つの関数の積の積分であれば、
(部分積分)
∫1▒f′(x)g(x) dx=f(x)g(x)-∫1▒f(x)g′(x) dx
を用いれば良いですね。今回のような3つの関数の積の場合は、
f(x)=e^(-x), g(x)=x sinxという風に置いて計算していきます。
なぜ、 e^(-x)とx sinxに分けたかというと、 e^(-x) sinx とxだと
e^(-x) sinxの部分が複雑すぎるので、 e^(-x) と sinx は分けておきたい。
また、e^(-x) の積分はすぐ求まりそうだと判断したい。
I=∫1▒〖e^(-x) 〖(xsin〗〖x)〗 〗 dx
=-e^(-x) (x sinx )+∫1▒〖e^(-x) 〖(sin〗〖x+x cosx)〗 〗 dx
=-e^(-x) (x sinx )+∫1▒〖e^(-x) sinx 〗 dx+∫1▒〖e^(-x) (x cosx ) 〗 dx
=-e^(-x) (x sinx )+∫1▒〖e^(-x) sinx 〗 dx+(〖-e〗^(-x) x cosx+∫1▒〖e^(-x) (cosx-x sinx ) 〗 dx)
=-e^(-x) x(sin〖x+cosx 〗 )+∫1▒〖e^(-x) 〖(sin〗x+cosx)〗 dx-I
∴ 2I=-e^(-x) x(sin〖x+cosx 〗 )-∫1▒〖〖(-e〗^(-x) 〖(cosx〗〖)′〗+〖〖(-e〗^(-x))cos〗x)〗 dx
∴ I=1/2 {-e^(-x) x(sin〖x+cosx 〗 )-e^(-x) cosx }+C
=-1/2 xe^(-x) cosx-1/2 xe^(-x) sinx-1/2 e^(-x) cosx+C (Cは積分定数)
(3) (2)を用いて計算する。なかなか根気の必要な計算です。
I_n=∫_2(n-1)π^(2n-1)π▒〖xe^(-x) sinx dx〗
=[-1/2 xe^(-x) cosx-1/2 xe^(-x) sinx-1/2 e^(-x) cosx ]_(2(n-1)π)^((2n-1)π)
代入してみると、sinxの部分は全て0になり、
cosxの部分は(奇数)× πのときは-1,(偶数)×πのときは1である。
これを意識すると少しだけ書く量が減ります。では続きを計算します。
I_n=1/2 ((2n-1)πe^(-(2n-1)π)+e^(-(2n-1)π)+2(n-1) 〖πe〗^(-2(n-1)π)+e^(-2(n-1)π) )
=1/2 (π(2(n-1) e^(-2(n-1)π)+(2n-1) e^(-(2n-1)π) )+(e^(-2(n-1)π)+e^(-(2n-1)π) ))
ここで、★と☆にわけて、以下考える。まずは★
∑_(k=1)^n▒(2(k-1) e^(-2(k-1)π)+(2k-1) e^(-(2k-1)π) )
=1∙e^(-π)+2∙e^(-2π)+3∙e^(-3π)+…+2(n-1) e^(-2(n-1)π)+(2n-1) e^(-(2n-1)π)
これをSとおく。
S=e^(-π)+2e^(-2π)+3e^(-3π)+…+(2n-2) e^(-2(n-1)π)+(2n-1) e^(-(2n-1)π)
e^(-π) S= e^(-2π)+2e^(-3π)+…+(2n-3) e^(-2(n-1)π)+(2n-2)e^(-(2n-1)π)+(2n-1) e^(-2nπ)
(1-e^(-π) )S=e^(-π)+e^(-2π)+e^(-3π)+…+e^(-2(n-1)π)+e^(-(2n-1)π)-(2n-1) e^(-2nπ)
=e^(-π)∙〖1-e〗^(-(2n-1)π)/(1-e^(-π) )-(2n-1) e^(-2nπ)
∴ S=e^(-π)∙〖1-e〗^(-(2n-1)π)/(1-e^(-π) )^2 -((2n-1) e^(-2nπ))/(1-e^(-π) )
次に、☆を考える
∑_(k=1)^n▒(e^(-2(k-1)π)+e^(-(2k-1)π) ) =1∙(1-e^(-2nπ))/(1-e^(-π) )
となるので、
∑_(k=1)^n▒I_k =1/2 (π(e^(-π)∙〖1-e〗^(-(2n-1)π)/(1-e^(-π) )^2 -((2n-1) e^(-2nπ))/(1-e^(-π) ))+(1-e^(-2nπ))/(1-e^(-π) ))
ここで、(1)よりlim┬(n→∞)〖xe^(-x) 〗=0なので、lim┬(n→∞)〖(2n-1) e^(-2nπ) 〗=0であり、
lim┬(n→∞)〖e^(-(2n-1)π) 〗=lim┬(n→∞)〖e^(-2nπ)=0〗なので、
∑_(n=1)^∞▒I_n =1/2 (πe^(-π)∙1/(1-e^(-π) )^2 +1/(1-e^(-π) ))
=(1+(-1+π) e^(-π))/(2(1-e^(-π) )^2 ) …(答)