2020年埼玉医科大 数学大問1(3)解説 前期 (医学部受験 東大合格請負人 時田啓光 合格舎)
こんにちは、東大合格請負人の時田啓光です。
今回は、2020年の埼玉医科大(前期)の数学大問1(3)の解説です。
本問は、
他の大学や共通テストでも出題される可能性が大いにある
台形に関するテーマ問題です。ぜひ来年度の受験生におさえて欲しい。
そのポイントを一緒に学びましょう。
例によって、受験生に無理がないような解答を心がけています。
[1](3) 4辺のうち、3辺の長さがaである台形の面積Sの最大値を求めよ。 (2020埼玉医科大)
解答に至るまでの考え方
3辺の長さが等しい台形、と言われてすぐに思いついて欲しいのが「等脚台形」です。
台形の中で特に重要な性質をもっています。等脚台形って何?という人は次をチェック!
等脚台形とは、
「台形(1組の向かい合う辺が平行な四角形)の中で、底辺の両端の内角が等しい図形」
※「等脚」と名称についていますが、辺の長さが等しいことが定義ではないことに注意!
AB//CDであり、∠ABC=∠CDB である等脚台形ABCDについての性質・定理は以下です。
(性質・定理)
① AB=DC (定義じゃないよ!あくまでも性質)
② AC=BD (2つの対角線の長さが等しい)
③ 等脚台形ABCDは、円に内接する(受験で最も重要)
④ ∠ABC+∠CDA=π, ∠BAD+∠BCD=π (対角の和がπ)
⑤ 4本の辺のそれぞれの垂直二等分線は1点で交わる
(等脚台形の逆の性質) 台形で向かい合う辺の長さが等しいならば、それは等脚台形である。・・・☆
さて、本問に戻りましょう
4辺のうち、3辺の長さが等しいので☆より、これは等脚台形だと分かる。
この図形をABCDとして、AB=AD=DCとなる等脚台形とする。
すると、(図1)または(図2)のような図形になるが、
ADが一定(=a)のとき、 BCが長い方が面積は大きくなるので、
(図1)を元に以下考える。
色々とテクニカルな解答方法はありますが、
今回は一番身近な台形の面積公式である
(上底+下底)×高さ÷2
これを用いる解き方を考えていきます。
長さが分かっていない唯一の辺はBCなので、 BCを考えていく。
まず点Aを通り辺DCに平行な直線と辺BCとの交点をPとし、
BP=t(>0)とおくと(図3)が描ける。
さらに、点A から辺BPに下ろした垂線の足をHとすると(図4)が描ける。
これにより、 AH=√(AB^2-BH^2 )=√(a^2-(t/2)^2 ) となる。
すると、S=1/2 (AD+BC)×AH
=1/2 (a+(a+t)) √(a^2-(t/2)^2 )
ここで、S(t)=1/2 (2a+t) (a^2-t^2/4)^(1/2) とおく。
これが最大となるtを求めるので、微分して極値を求めて増減表をかきましょう。
S^′ (t)=1/2 {(a^2-t^2/4)^(1/2)+(2a+t)∙1/2 (-t/2) (a^2-t^2/4)^(-1/2) }
=(4(a^2-t^2/4)-(2a+t)t)/(2〖∙4(a^2-t^2/4)〗^(1/2) )
=(-(t^2+at-2a^2 ))/〖2(a^2-t^2/4)〗^(1/2)
=(-(t+2a)(t-a))/〖2(a^2-t^2/4)〗^(1/2)
ここで、 S^′ (t)=0となるのは、t=-2a, aである。
S(a)=1/2∙3a∙(3/4 a^2 )^(1/2)=(3√3)/4 a^2
以上より、次の増減表がかける。
よって、求める面積の最大値は、 (3√3)/4 a^2 ・・・(答)